グリメガの小説感想置き場

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【感想】ウィリアム・ギヴスン『ニューロマンサー』

ニューロマンサー (ハヤカワ文庫SF)

 読むのにめっちゃ時間かかってしまった!

 途中TRPGのシナリオ作成やらなんやらで読むのを中断したり、2/3くらい読んだところで固有名詞がわからなくなって実は最初から読み直したりもしたんですよね。それでだいぶスラスラ読めるようになったんだけど、終盤はさらに難解だった!

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 サイバーパンクものの元祖的名作。ウィリアム・ギヴスンのニューロマンサー。以前から読んでみたいと思っていたのですが、文章が難解と聞いてちょっと読むのを躊躇してたんですよね。

 読んでみたらたしかにいくつかの意味で難解で、一度最初に戻って読み直すということまでしてしまいましたが、それでも読んでよかった!

 

 

 

 

 

【以下ネタバレ注意!】

 

 

 

 

 

 

とにかくかっこいいぜ!

 とにかくかっこいい。

 文章が凝りに凝っててイキイキとしています。

 詩的な表現もかっこいいし、突き放したような臨場感ある描写もクールだし、説明なしに固有名詞やメーカー名がバンバン出てくるのも不親切ではあるんだけどそれがかえって「そういう世界なんだ」というリアリティを醸し出している。だってその世界ではそれが当たり前にあるわけなんだから、いちいち説明なんてするわけがないですもんね(センダイは最初地名だと思って読んでたら、どうやらPCの名前みたいだぞと途中で気づくなど、そういうところに中盤までかなり苦労しましたw)。

 漢字で書いてカタカナのかっこいいルビを振りまくる、いかにもサイバーパンクな表現も今となってはあっちこっちで見る文化ですが、ニューロマンサーが文化的な嚆矢なのかな~。

 

ジャパーン!

 序盤舞台となる千葉も、日本なんだけどどこか日本じゃないカオスさで、アメリカ人が描くおかしな日本の魅力でいっぱい。こういうの大好きですよ。ニンジャスレイヤーで舞台が千葉だったのもこれが発端なんでしょう。

 敵に出てくる忍者の描写なども面白く、妙に礼儀正しくお辞儀で挨拶をしたりと、そんなところにもニンジャスレイヤーみを感じますねー(いや、順序が逆なんだけど)。

 

やや難点も

 ストーリー的にはしかし強烈な面白さがあるかというとそこまでは読み取れず。

 主人公ケイスに積極的な行動動機があまり見られず、私としては何を期待して読めばいいのかいまひとつ掴みにくかった、というところが原因かもしれません。

 もちろんケイスには長期的目標として、血管内に仕込まれた毒を取り除きたい、というものはあるものの、そこまで切迫感はなく、あくまで長期的目標。

 シーンごとの短期的な目標があまり設定されておらず、ただただ降りかかる火の粉をはらったり、言われるとおりにミッションをこなすだけで、当該のミッションでも実際にその事態に直面するまでは何が問題なのか、具体的にわかることはないという構成なのもネックだったかもしれません。

 行き先となる短期目標と、それをはばむ障害が提示され、この難しい状況を主人公はどう解決すればいいんだろうと考えて予想してわくわくする、そういうプロセスが体験できないと、なかなかのめりこんではいけないと思うんですよね。

 

サイバースペース描写!

 とはいえさすがニューロマンサー。ジャックイン後のサイバースペースが記号の集合や抽象的なデジタル空間ではなく、リアル空間と勘違いしそうな非常に臨場感をともなう世界が広がっていたり、かとおもったら現実ではありえないめくるめく壮大空間となったり、映像的に非常に面白い世界となっていたのは、これはやはり時代を切り開いた画期的な作品だったんだなと確かに感じさせられました。

 この時代にこれはたしかにすごい衝撃だっただろうなと。

 

八面六臂!

 また個人的にちょっと意外、というか、すごく新鮮だったのが、ケイスがサイバースペースに入りっぱなしではなくて、かなりの頻度でジャンプを繰り返してリアルスペースでの活躍担当のヒロイン、モリイの脳に入ってその目と感覚を共有しつつ、多角的にミッションをこなしてゆく場面でしたねー。

 あのパッパッと切り替え早く次々と場面を移りながら、世界を飛び回りながら情報を集め、全体を把握してゆくスピード感は読んでて非常にワクワクさせられました。

 これはたしかにサイバーパンクおもしれえと。

 わたしはまだサイバーパンクもののTRPGはやったことがないのですが、これはちょっとやってみたいって思わされちゃいましたねー。

 物理的にはバラバラに活躍しているようで、電脳空間を介して情報を共有しあい、指揮し、援護を飛ばしあうサイバーパンクならではのミッション風景、めっちゃ面白そうではないですか。